ツンデレとグレテールというスレを発見して、リベンジ精神で挑戦!
三人の仲の良い兄妹の物語です。(完結済み)
23 :以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します :2005/09/13(火) 16:38:59
ID:Rn3PV8Bj0
〜VIP昔話・ツンデルとデレーテル〜
むかしむかし、小さな村に4人の仲の良い家族が居ました。
容姿は美しく気立ての良い母。
昨年死去した父に代わり、木こりの仕事をして一家を支える長男のランデル。
長女で兄には少し冷たいものの妹思いのツンデル。
末っ子で甘えん坊のデレーテル。
小さいながらも一軒家に家族4人で幸せに暮らしていました。
天気の良い日。
今日も朝から母は洗濯をし始め、兄のランデルは木を切りに森へと向かいました。
「お兄ちゃん行ってらっしゃ〜い!」
デレーテルは部屋の窓から身を乗り出し、腕を一生懸命振って元気よく兄を見送ります。
その後ろでバツが悪そうにデレーテルが見送っています。
これもいつもの光景でした。
しかし、今日は少し違いました。
24 :以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します :2005/09/13(火) 16:39:50
ID:Rn3PV8Bj0
洗濯を終えた母がテーブルの上にランデルのお弁当が置き忘れているのに気がつきました。
「あらあら大変!このままじゃあの子をお腹すかせたまま仕事をさせてしまうわ・・・。でも、今日は町でお得意先と木材の取引があるし・・・。」
母は考えました。ふと窓の方に目をやると、外で水をかけ合って楽しそうに遊んでいるツンデルとデレーテルの姿が目につきました。
「・・・そうだわ。ツンデルー!ちょっと頼みたいことがあるんだけどー!」
母の声を聞きつけ、「な〜に〜?」と駆け寄るツンデル。その後を追うようにデレーテルもやって来ました。
「あのね、あなたにこのお弁当を森にいるランデルに届けて欲しいの。」
母は申し訳なさそうにお弁当を差し出します。
「兄さんお弁当忘れたの?・・・まったく、ドジなんだから。」
そう憎まれ口を叩きながらもお弁当をしっかりと受け取るツンデル。それを見て、デレーテルの目が輝きました。
「お兄ちゃんの所に行くの?私も行きたーい!」
母はふぅっとため息をつき、
「それじゃあ二人のお弁当も作ってあげるから、三人でお昼を食べなさい。」
そういうと母は台所へ行き、二人のためにパンとバターを持ってきてくれました。
「寄り道しないで、まっすぐランデルの所に行くのよ?森は一歩道を外れると・・・。」
「判ってるわ母さん。大丈夫、私がついてるもの。」
「・・・そうね。お弁当とデレーテルを頼むわね。」
「行ってきます。母さん。」「行ってきま〜す!」
母に見送られ、二人は森へと入っていきました。
33 :以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します :2005/09/13(火) 18:12:28 ID:Rn3PV8Bj0
森の中は澄んだ空気に満ち、人工に作られた道を木漏れ日が神秘的に照らします。
二人はその美しい景色に息を呑みました。
「はぐれないように手を繋いでいきましょう、デレーテル。」
「うん!」
ツンデルは左手で三人分のお弁当の入ったバスケットを持ち、右手でデレーデルの小さな手を握りました。
「おねーちゃんの手、大きくてあったか〜い。」
デレーデルは繋いでいる手を前後に揺らしながらはしゃぎました。
ツンデルは嬉しそうなデレーデルに微笑みかけ、二人は森の景色を楽しむかのように、ゆっくりと兄ランデルの仕事場に向かいました。
暫く歩くと、前方に小さな小屋が見えてきました。兄ランデルの仕事場です。
二人は小屋の前に立つと、扉をノックしました。
「兄さん、忘れ物のお弁当持ってきたわよ。」
「おにーちゃん、みんなでお昼ご飯食べよー。」
しかし、扉の向こうから返事はありません。ツンデルがドアノブを回すと鍵はかかっておらず扉は開きました。しかし中に兄の姿はありませんでした。
「まったく兄さんたら鍵もかけずに・・・。デレーテル、兄さんはまだ仕事みたいだから中で待ってようか。」
「うん!」
二人は小屋でランデルの帰りを待つことにしました。
50 :23・24・33:2005/09/13(火) 22:29:19 ID:Rn3PV8Bj0
しばらくすると、ランデルが小屋に戻ってきました。
ランデルが小屋のドアを開くと、中からデレーテルが駆け寄ってきました。
「おにーちゃんおかえり〜!お弁当持ってきたから一緒に食べよ〜。」
そういって兄の腕にしがみつくデレーテル。
「あ、わざわざ持ってきてくれたんだ。ありがとうデレーテル。」
「・・・私もいるわよ。」
その声にハッとして部屋の奥を見ると、椅子に足を組んで座り不機嫌そうにしているツンデルが居た。
「あ、ツンデルも来てくれたんだ。ありがとう。デレーテル一人じゃ心配だしね。」
そう言いながらツンデルの正面の椅子に腰をかけるランデル。デレーテルも専用の小さな椅子に座る。
「まったく、小屋の鍵を開けたまま仕事に行くなんて不用心にも程があるわ。それにお弁当まで忘れて、しっかりしてよ兄さん。」
「ご、ごめん・・・。」
「まったく・・・。まあいいわ。小言はこれくらいにして、そろそろお昼ご飯を頂きましょうか。」
ツンデルはバケットからパンとバターを取り出し、それぞれのお皿に分けていく。
「わ〜、美味しそう!」
デレーテルが目を輝かせながらパンを見つめる。
「ふふ、そう?それじゃあ頂きましょうか。」
三人は手を胸の前で組み神に祈った後、各々のパンを口にした。
51 :23・24・33:2005/09/13(火) 22:30:32 ID:Rn3PV8Bj0
「美味しいね〜お兄ちゃん。」
「うん、今日のは一段と美味しいな。」
そんな二人の会話を聞き、なぜか頬を赤らめるツンデル。
「うふふ。あのね〜、今日はお姉ちゃんがパン焼いたんだよね〜。」
「あ!コラ!それは内緒に・・・。」
「へ〜、そうなんだ。ツンデルの焼くパンは美味しいね。」
「うぅ・・・。そ、そんなに美味しい?よ、よかったらまた作っても、良いけど・・・。」
上目遣いで兄の様子を伺うツンデル。
「うん、美味しいよ。またお弁当の時に焼いてくれるかい?」
「き、気が向いたらよ?気が向いたら!」
「気が向くのを楽しみにしてるよ。」
笑顔でそう言い、パンを頬張るランデルを見て、ツンデルの顔は耳まで紅く染まる。
「あ〜、お姉ちゃんお顔まっただよ〜。」
デレーテルがにやにやと笑みを浮かべてツンデルをからかいます。
「なっ!デレーテル!」
「キャー!お兄ちゃん助けてぇ〜。」
「こら待ちなさい、デレーテル!」
ランデルはそんな二人の微笑ましい姿を見て、ずっとこのままで居たいと思いました。
86 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 07:26:12 ID:Dliyv4xI0
昼食も食べ終わり、食後のお茶を楽しむ三人。
「ねえおにーちゃん、今日は三人で帰ろうよ〜。」
「う〜ん、まだ仕事が残ってるからな・・・。」
「じゃあ、おにーちゃんの仕事が終わるまで待ってる〜!」
デレーテルの我が儘に、ランデルは「しょうがないな。」とでも言うようにため息をつく。
「わかった。それじゃあ僕の仕事が終わったら一緒に帰ろう。でもちゃんとここで待ってるんだよ?森の奥には行ってはだめだからね。」
「大丈夫よ兄さん。私が傍についてますから。」
「うん。ツンデル、デレーテルを頼むよ。それじゃあそろそろ僕は仕事に戻るよ。」
ランデルは席を立ち、「良い子にして待ってるんだぞ。」とデレーテルの頭を撫でる。デレーテルは嬉しそうに目を細めて「うん!」と頷く。
「行ってきます。」
ドアノブに手をかけようとしたとき、不意にツンデルに呼び止められる。
「兄さん。」
「ん?なんだいツンデル?」
「その、あの・・・。わ、私にも・・・なでな・・・で・・・。な、なんでもない!しっかり仕事してきてよ兄さん!」
ツンデルはそう言い放つとランデルから目をそらし食器を片付け始めた。
「うん?頑張ってくるよ。」
「いってらっしゃ〜い!」
「・・・いってらっしゃい。」
笑顔で小屋を出て行く兄の姿を元気に見送るデレーテルとは反対に、ツンデルは複雑な思いで見送っていた。
90 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 07:51:44 ID:Dliyv4xI0
ランデルが出て行った後、お昼ご飯をお腹いっぱい食べたせいかデレーテルはウトウトと舟をこぎ始めた。
「デレーテル?眠いならお外でお昼寝でもする?」
ツンデルが窓の外を見ると、この小屋の周りは木がない為、太陽の光が降り注ぎ、柔らかそうな草が一面に広がっている。あそこで寝ればどんなに気持ちいいだろうか、とツンデルは考えたのだ。
「うん〜。寝る〜。・・・く〜。」
「ちょ、ちょっとデレーテル!・・・まったくこの子ったら世話が焼けるんだから。」
睡魔との闘いに負けてしまったデレーテルを抱きかかえ、小屋の外に出るツンデル。
降り注ぐ太陽の光はぽかぽかと暖かく、ツンデルまで眠気くなってくる。一番柔らかそうなところにデレーテルを寝かせ、ツンデルは膝枕をしてあげる。
ツンデルがすやすやと心地よさそうに眠るデレーテルを眺めていると、先ほどの事が脳裏に浮かんできた。
「(何で私、さっきあんな事を言ったんだろう・・・。デレーテルが頭を撫でられるのを見て、自分もしてもらいたいなんて思うなんて・・・。)」
ふうっとため息を漏らすツンデル。
「(私、おかしいのかな・・・。最近兄さんを見ると胸が苦しくなる。デレーテルのように甘えたくなる・・・。)」
ツンデルは空を見上げる。周りを木に囲まれ、そこだけぽっかりと穴が開いたように青空が浮かんでいる。
「(どうしてなんだろう?・・・ううん、本当は判っているの。私は兄さんに恋をしているんだって。私は兄さんを男性として愛しているんだって。)」
三羽の鳥が並んで飛んできた。それらはやがて空の向こうに消えていく。
「(でも、それは許されない事。だから私は自分の気持ちとは正反対の事をしなきゃいけないの。この想いがばれないように。たとえ、自分が傷ついても・・・。)」
一瞬、太陽の光に反射して、ツンデルの目から流れるものがキラキラと光る。ツンデルは親指の腹でそれを拭う。
森の奥からコーン、コーン、と音がしてきた。きっとランデルが木を切り始めたのだろう。
その音を聞き逃さないように、ツンデルは目をとじて、耳を済ませた。
134 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 19:27:09 ID:Dliyv4xI0
いつの間にかツンデルは眠っていました。
しばらくして、デレーテルが目を覚ますと、姉の美しい寝顔が目の前にありました。
体を起こし、「ふぁ〜」と体を伸ばすデレーテル。
「う〜ん、おにーちゃんがいない〜。」
どうやら夢の中では兄ランデルと一緒だったのです。寝ぼけ眼で辺りを見回します。
すると、どこかからコーン、コーンと音が聞こえてきました。デレーテルもよく耳にする、ランデルが斧で木を切る音です。
「おにーちゃんの所に行こ〜っと。」
デレーテルは小屋で待っているという約束を忘れて、森の中に一人で入っていってしまいました。
暫くして、ツンデルが目を覚ましました。
「んん〜〜。いつの間にか寝ちゃったわね。」
ツンデルは目を擦りながら周りを見渡し、デレーテルが居ない事に気がつきました。ツンデルの美しい顔から血の気が引いていきます。
急いで小屋の中を確認しに行くツンデル。しかし、小屋の中に妹の姿はありません。
「大変だわ!」
そうつぶやいて小屋を出ると、仕事を早めに終わらせて帰ってくるランデルの姿が見えました。
血相を変えて駆け寄ってくるツンデルを見て、ランデルは何かが起こった事を察しました。
135 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 19:27:42 ID:Dliyv4xI0
「兄さん!デレーテルが、デレーテルが!」
「落ち着いてツンデル。デレーテルがどうかしたの?」
錯乱気味のツンデルをランデルは優しく抱きしめて話の続きを促します。
「あ、あのね!私が目を離した隙にデレーテルが居なくなっちゃったの!」
ついにツンデルの目から涙が溢れてきました。
「それは大変だ!きっと森の中に入ったんだろう。日が落ちる前に見つけないと危険だ!」
事の重大さを知り、ランデルの顔にも焦りが浮かんできます。
「ごめんなさい・・・グスッ。わ、私が目を離したばっかりにこんな事に!」
ツンデルは罪悪感からの恐怖か、ランデルにしがみつき泣き続けます。
「ツンデルだけの所為じゃない。僕があの時二人を家に帰していればこんな事にはならなかった。」
「どうしよう兄さん・・・。デレーテルに、デレーテルに何かあったら私は!」
「大丈夫。今から二人で探せばきっと見つかるさ!」
ランデルの励ましにより、冷静さを取り戻すツンデル。
「そ、そうよね。それじゃあ早速手分けして探しましょう!」
そう言って、先走って森に走って行こうとするツンデルをランデルが腕を掴んで止めます。
「待つんだツンデル。一人で森にはいるのは危険だ。僕と一緒に探そう。」
「え・・・、でも!」
「焦る気持ちは僕だって同じさ。だけどツンデルは森の奥を歩いた事はないだろう?ツンデルまで迷子になってしまったら・・・。」
兄の悲しそうな眼差しにツンデルは力んでいた肩の力を抜く。
「そ、そうね・・・。」
「うん。それじゃあ探しに行こうか。」
ツンデルに手を差し出すランデル。
「う、うん・・・。」
その手におずおずと自分の手を重ねるツンデル。
二人は手をしっかりと繋ぎながら森の奥へと入っていった。
137 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 19:46:54 ID:Dliyv4xI0
デレーテルは立ち止まり辺りを見回しました。しかしここは森の奥深く。視界の限り森は続いています。
「どうしよう・・・。迷子になっちゃったよぅ・・・。」
兄が木を切っている音も聞こえなくなっていました。
どこかで鳥がギャーギャー鳴いています。デレーテルは怖くなってその場から駆け出しました。
「あ!」
デレーテルは木の根っこに足を取られて転んでしまい、その拍子に大切な髪留めを落としてしまいました。
「うぅ・・・グスン・・・。おにーちゃーん!おねーちゃーん!どこーー!」
転んだ痛さよりも一人で居る恐怖に、ついにデレーテルは泣き始めてしまいました。
「うわ〜ん!怖いよ〜!助けておにーちゃーん!」
座り込んで泣きじゃくるデレーテル。
すると後ろから「ザッ・・・ザッ・・・」と草を踏む音が近づいてきます。
その音に気がついたデレーテルはハッと後ろを振り返りました。
「あ!おねー・・・ちゃん?」
そこにはツンデルと同じ年頃くらいの女が立っていました。
「あらあら、お嬢ちゃんこんな所でどうしたの?」
女はしゃがみ込み、泣いているデレーテルの頭を優しく撫でる。
「あのね、あのね。おにーちゃんとおねーちゃんとはぐれちゃったの・・・。」
デレーテルは泣くのを止め、その女に事情を話しました。
「そう、お兄さんとお姉さんもこの森にいるのね・・・。」
女は何かを考えた後、デレーテルを抱き上げました。
「お兄さんとお姉さんは私が探してあげるから、とりあえず今は私の家に行きましょう。」
女はデレーテルを抱いたまま歩き始め、暫くすると甘い香りが漂ってくるのにデレーテルが気がつきました。
「さあ、着いたわよ。あなたのお兄さんとお姉さんは私が連れてくるから、暫くここで待っててね。」
「わぁ〜。」
デレーテルが見たのは、全てがお菓子で作られた小さな家でした。
139 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 19:58:26 ID:Dliyv4xI0
その頃、ランデルとツンデルは森の奥深くまで探しに来ていました。
あまりの静けさ、そしてどこまでも続く薄暗い森。
自然とツンデルは握っている手に力が入ります。
その時、ランデルが落ちていた枝を踏んでしまいました。
その音に反応して、近くにあった木から鳥がギャーギャーと鳴きながら飛び出しました。
「キャーー!」
驚きのあまり、ランデルにしがみつくツンデル。
「大丈夫だよツンデル。」
「ごめんなさい、つい・・・っ!」
我に返ったツンデルのすぐ目の前にランデルの顔があり、ツンデルは急いで離れました。
「あれ?ツンデル顔が赤いよ?疲れたかな?」
「な、なんでもないわ!早く探しに行きましょう!」
ツンデルは乱暴に兄の手を握り、慌てるランデルを引っ張りながら捜索を再開しました。
「・・・!兄さん、あの木を見て!あそこの枝に留まってる鳥が咥えてるのってデレーテルの髪留めじゃない!?」
ツンデルに言われ、ランデルがその鳥を見ると、確かにクチバシに咥えている物はデレーテルに誕生日プレゼントとして買ってあげた髪留めでした。
鳥は暫く二人を見つめ、「ついてこい」と言わんばかりに森の奥へとゆっくり飛んでいきました。
「ツンデル、あの鳥を追いかけよう!」
「うん!」
二人はその鳥を見失わないように、急いで駆け出しました。
140 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 20:21:27 ID:Dliyv4xI0
鳥を追っていくと、その先に家が見えてきました。
鳥はその家の近くで髪留めを落としました。
髪留めを拾い上げ、二人が顔を上げてその家をよく見ました。そして二人とも驚きました。
それもそのはず。屋根と壁はビスケット、窓ガラスは飴、玄関の扉はチョコレート、全てがお菓子でできた家だったのです。
すごく甘くて良い香りが辺りを覆っています。
二人が驚いていると、板チョコの扉を開けて、中から女が出てきました。
「二人とも、もしかしてデレーテルちゃんのお兄さんとお姉さんですか?」
二人は驚き、お互いの顔を見合わせました。
「うふふ。デレーテルちゃんならこの家の中に居ますわ。貴方方もお入りなって。」
「は、はい。」
二人は女に誘われるがまま、お菓子の家に入っていきました。
家の中では、デレーテルが美味しそうにクッキーを頬張っていました。
「デレーテル!」
その声に気づき、クッキーを食べるのを止め、デレーテルはツンデル達を見ました。
ツンデルはデレーテルに駆け寄り、強く抱きしめました。
「よかった!すごく心配したのよ!本当によかった!」
涙を流しながら喜ぶツンデル。しかし、デレーテルは何も言いません。
ツンデルがデレーテルを離すと、口の周りにクッキーの屑をいっぱいつけたデレーテルがニヤッと笑いました。
「おねーちゃん、おにーちゃん、ここのおかしとーっても美味しいんだよ〜。」
そう言うと、またクッキーを食べ始めるデレーテル。
「デレーテル?」
ツンデルとランデルは少し違和感を覚えました。
141 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 20:21:50 ID:Dliyv4xI0
「うふふ。デレーテルちゃんにここのお菓子が気に入ってもらえてよかったわ。さあお兄さん方も召し上がってください。今お茶を入れてきますね。」
そういうと、女はお菓子のいっぱい詰まったカゴを二人に差し出し、奥の部屋に入っていった。
しかし、二人はこの光景に違和感を感じ、お菓子に手をつけようとは思いませんでした。
やがて、奥の部屋のドアが開き、中から女がティーポットとカップを持ってやって来ました。
「あら、お菓子はお口に合いませんか?それではこの紅茶をどうぞ。」
そう言って、女は3つのカップに良い香りのする紅茶を注いでいく。
「わざわざありがとうございます。妹も助けていただいて。でも、日が落ちてしまいますと家に帰れなくなってしまいますので、そろそろ帰ります。」
ランデルは女にそう伝える。
「あらあら、もっとゆっくりしていって下さいな。よろしければ今晩はここに泊まっていただいても構いませんし。」
女は笑顔で答える。そんな兄と女の会話にツンデルが割り込んできた。
「兄さん!デレーテルがおかしいの!」
142 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 20:32:24 ID:Dliyv4xI0
ツンデルの言葉を聞き、デレーテルの方を見ると、一心不乱にクッキーを貪りつくデレーテルの姿がありました。
その瞳はどこか虚ろで、我を忘れているかのようにクッキーをムシャムシャと食べています。
「さっきからあの調子なのよ!止めようとしても全然聞いてくれないの!」
「これはいったい・・・。」
その光景に驚き、ランデルは女に目を移しました。
「え!?」
ランデルは女の姿を見て驚愕しました。
それもそのはず、先ほどまではツンデルほどの年の姿をした女が、突然老婆の姿になっていたからです。
ツンデルもその姿に気づき、兄にしがみつきます。
「ヒッヒッヒ。魔法のお菓子も食わないわ、眠り薬入りの紅茶も飲まないわ、まったく無礼なガキ共だねぇ。」
老婆の目が二人を睨みつけます。
「まあいい、そろそろ眠り香が効いてくる頃さね。」
老婆は不気味に口を歪ませます。
すると、突然ツンデルが床に倒れました。
「ツンデル!?」
ハッとして気づいたときにはランデルも手遅れでした。
初めからこの家に漂っていた甘い香り、それこそが眠り香だったのです。
抵抗むなしくランデルも床に伏し、眠りに落ちてしまいました。
145 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 20:46:22 ID:Dliyv4xI0
ランデルが気がつくと、横には手足を鎖で繋がれたツンデルとデレーテルが横たわっていました。
四方を扉の無い壁に囲まれた部屋でした。
「ここは・・・。」
「今日からお前達が住む部屋さね。」
その声のする頭上を見上げると、天上にあいた穴から老婆が覗き込んでいました。
「お前は誰だ!僕たちをどうするつもりだ!」
ランデルは老婆を怒鳴りつけました。老婆は嬉しそうに「ヒッヒッヒ」と笑っています。
「私はこの森に住むわる〜い魔女さ。お前達はこれからお菓子をいっぱい食べて、まるまる太ったらここから出してあげるさね。」
魔女はニヤリと笑います。
「まあ、この穴からでれたら今度は私のお腹の中さね。ヒーッヒッヒヒ。」
魔女は一段と下品な笑い方をした後、天上の穴に蓋をしました。
「くそっ!ここからだせ!」
ランデルは声を張り上げます。しかしその声が魔女に届くことはありませんでした。
ランデルは力なく床に座り込みました。
未だ目の覚まさない二人のかわいい妹に目をやります。
「これからどうすれば・・・。」
ランデルは頭を抱え込み、ここからどうするかを考えました。
159 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 21:35:00 ID:Dliyv4xI0
ランデル達が掴まって、一夜が明けました。
三人は恐怖に怯え、寄り添ったまま寝付けませんでした。
「ほらお前達!朝食を持って来たよ。しっかり食べてしっかり太るんだよ!」
魔女が天上の穴から大量のお菓子を落としてきます。
蓋を閉めようとしたとき、ランデルは「ちょっと待ってくれ!」と叫びました。
「・・・なにさね。」
魔女がランデルをきつく睨みつけます。しかしランデルは怖じ気づかずに口を開きました。
「どうか、どうか二人の妹だけは助けてください!」
「兄さん!?」「おにーちゃん!」
ランデルのいきなりな申し出に、逆にツンデルとデレーテルが驚きます。
「二人はまだ幼い少女です。食べたいのでしたら僕だけにしてください。二人を逃がしてくれるのだったら、僕はいくらでもお菓子を食べますから!」
ランデルの哀願に、魔女はニヤリと微笑む。
「ほぅ・・・。妹思いの兄だこと。しかしその願いは聞くわけにはいかないねぇ。」
と言うものの、魔女は何かを考えているのかしわくちゃの手に顎を乗せて目をつぶっています。
「そうさねぇ、さすがに三人も食べきれないからねぇ。」
その言葉を聞き、ランデルの目が輝く。
「よし判った。一人だけ逃がしてやろう。」
「え・・・?」
ランデルは絶望に突き落とされたような声を出しました。
「聞こえなかったのかい?一人なら逃がしてやるさね。別に逃げたくないのだったら構わないがねぇ。ヒッヒッヒ。」
魔女は元々逃がすつもりはないのか、いやらしく笑います。
「まあ、昼になったらまた来るさね。それまでに誰を逃がすのか決めておくんだねぇ。」
魔女はそう言うと、穴に蓋をして去っていきました。
「兄さん・・・。」
「おにーちゃん・・・。」
ツンデルとデレーテルが心配そうにランデルの顔を覗き込む。
両腕にしがみつく妹たちの力が強くなるのを感じ、
「どちらを逃がせばいいのか?」そう苦悩するランデルは暫く声が出せなかった。
160 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 21:43:13 ID:Dliyv4xI0
しばらくして、最初に口を開いたのはツンデルだった。
「兄さん、デレーテルを逃がしましょう。この子はこんなに幼いのにこんな所で死ぬなんてダメよ!」
ランデルがツンデルの顔を見つめる。彼女の瞳には決意の光が宿っていた。
「兄さんとなら・・・、私はここで死んでも良いわ・・・。」
その言葉を言うと、ツンデルは悲しそうに顔を背ける。
「ツンデル・・・。」
「そんなのだめだよおねーちゃん!」
ツンデルの申し出にデレーテルが声を上げる。
「おねーちゃんもおにーちゃんも一緒じゃないとやだぁ!」
デレーテルの瞳からはいつの間にか涙があふれ出ている。
「デレーテル、我が儘を言わないで・・・。私はあなたのことを一番大切に思ってるからこそ、生き延びて欲しいの。」
ツンデルは初めてデレーテルに嘘をついた。
「おねーちゃん・・・。」
「これで良いわよね、お兄ちゃん?」
「ああ。」
自分の力では何もできないランデルは、ただ頷くしかなかった。
166 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 21:54:55 ID:Dliyv4xI0
昼頃、再び天井の穴から窓が顔を見せた。
「さぁて、どっちを逃がすんだい?」
ランデルは立ち上がって、デレーテルを抱き上げた。
「この子を。デレーテルを逃がしてください。」
「ヒッヒッヒ。約束を忘れるんじゃないよ小僧。」
そう言うと、魔女の指が触手に変わり、デレーテルに巻き付いてくる。
「おにーちゃん!おねーちゃん!やっぱりいやぁ!」
デレーテルは泣きながらランデルの腕を掴む。
「デレーテル、良い子に育つんだよ。」
「デレーテル、お母さんのことを頼むわね。」
別れの言葉を言うと、二人はデレーテルの両頬にキスをした。
「もう別れは済んだかい?それじゃあこの娘は約束通り逃がしてやるさね。」
触手に引き上げられ、ランデルの腕からデレーテルの感触が無くなる。
「おにーちゃーん!おねーちゃーん!」
デレーデルは穴から引き上げられるあいだ、ずっと大好きな二人の名を呼んでいた。
引き上げられたデレーデルの頬を魔女が一触りすると、まるで死んだかのようにデレーデルは眠った。
「ヒッヒッヒ。私がこの娘を家まで送り届けて帰ってくるまでくるまで、ちゃんとお菓子を食べておくんだよ。」
魔女はそう言うと天井の蓋を閉めた。
残されたランデルとツンデルは寄り添いながらデレーデルの身を案じた。
167 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 22:08:22 ID:Dliyv4xI0
壁に体を預け寄り添いながら座るランデルとデレーテル。
「兄さん、デレーテルは大丈夫よね?」
心配そうにつぶやくツンデル。
「ああ、きっと大丈夫だよ。」
ランデルにも確信はなかったが、今はツンデルに心配をかけないようにした。
暫く沈黙が続く。
「ねぇ、兄さん。さっき私、デレーデルに嘘ついたの。」
ツンデルの突拍子もない言葉にランデルがツンデルの方を向く。
「一番大切なのはデレーデルじゃないの・・・。」
ランデルの顔を見ずに淡々と話すツンデル。
「それは・・・、どういうことだい?」
「私の一番大切な人はね・・・。」
不意にツンデルがランデルの方を向く。
ツンデルのしっとりと濡れ、うつくしく大きな青い瞳と目が合い、ランデルは息をのむ。
「私はね、兄さん・・・。兄さんのことを世界の誰よりも大切に思ってるの。」
目を合わせたまま微笑むツンデル。あまりにも急なことに、ランデルは言葉を失う。
「兄さん・・・。」
艶めかしくつぶやくツンデル。
ランデルはそのほんのりと濡れたツンデルの唇から目が離せなかった。
ランデルは今まで意識していなかった妹の女を知り、初めてツンデルを女として見たのだった。
169 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 22:22:58 ID:Dliyv4xI0
二人の唇はまるで引き寄せられるかのように近づく。
「・・・っ!ダメだ!」
ランデルは慌てて顔を離す。
「僕たちは兄妹なんだ。こんな事をしちゃいけないんだ。」
ツンデルはランデルの言葉に目をそらす。
「・・・やっぱり。兄さんにとっての私は妹でしかないのね。」
ツンデルが悲しそうにつぶやく。
「ツンデル・・・。」
呼びかけてもツンデルはランデルに顔を合わせようとしない。しかし、ランデルの腕にしがみつくツンデルの両腕に力が入る。
「いいの。兄さんが私の事を妹としてしか見てくれてないのは判ってたから。」
そうつぶやくツンデル。
「でもね・・・。」
「でもね、それでもいいの!今までなんてどうでもいいの!」
ツンデルの叫びに、ランデルは言葉を失う。
「私たちもう死んじゃうのよ?ここからでられなくて死んじゃうのよ?だったら嘘でも良い、最後くらい兄さんに女としてみて貰いたいの!」
ツンデルの瞳から涙が流れ出した。
「ツンデル、大丈夫だから!なんとかなるよ!」
「そんなの嘘!たとえ助かっても、その時兄さんが居なければ助からないのと同じだわ!」
それは不意の出来事だった。
ツンデルは振り向いたかと思うと、ランデルの肩に両手を置き、
戸惑うランデルの唇を奪った。
「兄さん・・・。好き・・・。」
175 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/14(水) 22:42:38 ID:Dliyv4xI0
「ツンデル・・・。」
「兄さん・・・。
くちづけの後、二人はお互いの目を見つめる。
「おねがい。兄さん・・・。」
ツンデルはゆっくりとランデルに覆い被さる。
ランデルは床に寝かされ、ツンデルが覆い被さるような形になり身動きがとれなくなっていた。
「だ、だめだこんな事、ツンデル・・・。」
「・・・こんな事って、なぁに?教えてよ兄さん。」
ツンデルは妖しく微笑み、再度唇を重ねようとする。
それを拒絶するかのように、ランデルは顔を背ける。そこで何かに気がつく。
顔を向けた先に見える壁、目を凝らさないとよくわからないほどの細い隙間が入っている。
「待つんだ、ツンデル!」
急に体を起こすランデルに驚くツンデル。
「兄さん?」
ランデルは立ち上がると、壁の隙間を触ってみた。
ギギ・・・
重い物を引きずるような音と共に、ほんの少しだけ壁が押せた。
「これは!」
壁に窪みを見つけ、その窪みを引いてみる。
ギギギ・・・
壁はゆっくりと引き抜かれ、一人がしゃがんで通れるくらいの穴が顔を出した。
その真っ暗な穴からは微かではあるが風が吹き抜けてくる。
「兄さん、これって・・・。」
「うん、もしかすると外に繋がって居るかもしれない。行こう!」
魔女がいつ来ても帰ってきても良いようにツンデルを先に行かせる。
ツンデルが穴に入ったのを見送り、ランデルは自分の上着を脱ぎその上着にお菓子をいっぱい詰めて部屋の隅に置く。
そしてちらっと天井の蓋をされている穴を見て、ツンデルの後に続いた。
226 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 13:44:48 ID:WfowB7fV0
その頃、魔女はデレーテルを森の出入り口まで連れてきていました。
「さあ起きな、小娘。後は自分でお帰り。」
魔女は眠っているデレーテルの頬をペシペシと叩きます。
「・・・う、ん?ここどこぉ?」
「何を寝ぼけてるんだい小娘!約束通り逃がしてやるさね。優しい兄と姉に感謝するんだね。ヒッヒッヒ。」
魔女の気味の悪い笑い声にデレーテルはハッとしました。
「あ、悪い魔女!おにーちゃんとおねーちゃんを帰せぇ!」
じたばたと暴れ、抱かれていた魔女の手を振りほどき地面に転げ落ちるデレーデル。
「チッ!なんだい小娘!私に刃向かうのかい?何ならここでお前を食べてやるぞ!」
魔女は怒った顔でデレーテルに近づいてきます。
「おい!そこに誰か居るのか!」
不意に草むらから大きな男が出てきました。
「む!そこにいるのはデレーテルか!?」
その男は、帰ってこない子供達を心配した母が捜索を頼んだ村人の一人でした。
「ふん、小娘!命拾いしたね!」
そう言い残し、魔女は箒に乗って森の奥に消えていきました。
「大丈夫だったかい、デレーテル。」
男はデレーテルに駆け寄りました。そして、男の声を聞きつけて沢山の村人と母がやって来ました。
「おかーさん!」
「デレーテル!」
デレーテルは泣きながら母の胸に飛び込みました。母は優しくデレーテルの頭を撫ですます。
「うわ〜ん!おかーさーん!おにーちゃんとおねーちゃんがー!」
「あの二人に何かあったの!?」
母はデレーテルに問いかけます。デレーテルはすぐに泣きやみ今までのことを話しました。
227 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 13:47:17 ID:WfowB7fV0
デレーテルの話を聞いて、母の顔は青ざめ、村人はざわめき出します。
「そのお菓子の家はいったいどこにあるんだ?この森はかなり広いし大人でもそう奥までは入らないからなぁ・・・。」
一人の村人が漏らした言葉に、その場の全員がしんと静まりかえります。
「・・・あ!みんなあれ見て!」
デレーテルが声を上げて森の方の地面を指さしています。
そこには、クッキーが落ちていました。他にもクッキーは落ちていて、それは森の奥まで続いています。
「このクッキー、お菓子の家で食べたやつだぁ!きっと魔女が落としていったんだわ。」
デレーテルの言葉に先ほどの男が声を張り上げます。
「よしみんな!このクッキーを追って二人を助けに行くぞ!」
「オォー!」
村人達は勇み足でそのクッキーを辿り森の奥へと入っていきました。
その後ろにデレーテル達が続きます。
228 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 13:49:18 ID:WfowB7fV0
一方ランデルとツンデルは真っ暗な穴の中を四つん這いになって進んでいました。
「ねえ、兄さん。この穴どこまで続いているのかしら?」
「う〜ん・・・、判らない。けど、今は進むしかないよツンデル。」
「そうね・・・っ!兄さん前向かないでよ!」
いきなりツンデルが怒り出しました。
「な、なんでだよ?」
「いいから何でも!絶対に前向いちゃダメだからね!」
ランデルが前を向くと、目の前にツンデルのお尻がありました短いスカートから暗闇の中でも映える白くて綺麗な足が二本伸びています
「あん!に、兄さんのバカー!」
「ぶえっ!」
ツンデルの足がランデルの顔に直撃しました。
「兄さんが前向くと足に息がかかるから判るんだからね!絶対にもう向かないでよ!今度は蹴るからね!」
「もう蹴ってるんだけど・・・。」
蹴られたとき、ランデルはスカートの中の白い何かが見えたことは黙っていました。
「もう・・・。兄さんのばかぁ。」
そういいながらどんどん前に進んでいくツンデルを見て、ランデルは安心しました。
「(いつものツンデルに戻ってよかった・・・。)」
「え?なに兄さん?何か言った?」
「ううん、白いと思って。・・・あ!しまった!」
ツンデルの動きがピタリ止まりました。
「兄さん!」
「わっ!ごめん!」
ランデルは咄嗟に顔をガードしました。しかし蹴りは飛んできません。
「兄さん、あれ見て!光よ!」
ランデルが前を向くと、前方に微かな光が見えました。
「行ってみよう!」
「うん!」
二人はその光に向かって進み出しました。
230 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 13:51:49 ID:WfowB7fV0
ランデル達が光に向かって進みだした頃、魔女がお菓子の家に戻ってきました。魔女のお腹はペコペコです。
「さーて、そろそろ食べ頃かねぇ。」
穴から地下室を覗き込むと、お菓子の山の中にすでに丸々と太り、服だけが見えている子供達の姿がありました。
魔女は目を輝かせて触手を伸ばします。しかし、引き上げたのはお菓子がぱんぱんに詰まったランデルの服でした。
魔女は驚き、地下室に降りてお菓子の山の中を探しました。しかしそこに二人の姿はありません。
すると、どこからか微かに二人の声がしました。魔女が壁を見ると、隠し扉の隙間が少し空いていました。
「あのガキ達!逃げおったか!」
魔女はとてつもない屈辱と怒りに燃え、扉を開けました。
魔女が何かの呪文を唱えると、魔女の姿はたちまち子供くらいの大きさの醜いネズミの姿に変わっていきます。
「私を怒らせたなガキ共!食い殺してやる!」
そう叫ぶと大ネズミの姿になった魔女は穴の中に駆け込み二人を追いかけました。
232 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 13:53:45 ID:WfowB7fV0
その頃、二人は進んでいき、だんだんと光が大きくなってきました。
「もうすぐだツンデル!頑張ろう!」
「はい!兄さん!」
光が大きくなるにつれ、穴の大きさもどんどん大きくなっていき、二人が立ち上がれるくらいの大きさになってきました。
二人は立ち上がって手を繋ぎ、光に向かって駆け出しました。
そして、光がすぐ目の前まで近づいたとき、ツンデルが叫びました。
「ま、待って兄さん!」
ツンデルは急に足を止め、兄を制しました。
「見てよこれ・・・。ここから逃げるなんて無理だわ・・・。」
「これは・・・。」
二人が穴の外を見ると、その先に地面はなく、断崖絶壁の崖でした。下には荒れ狂う海が見えます。
「兄さん、どうしよう・・・。」
ツンデルはその場に座り込み、ランデルは呆然と立ちつくしました。
その時です。後ろから何かがものすごい早さで向かってくる音が聞こえます。
二人が後ろを振り返ると、赤く不気味な光が二つ、ランデル達の方に向かってきます。
233 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 13:56:02 ID:WfowB7fV0
「お前達ぃぃぃ!よくも逃げたなぁぁぁ!」
それは魔女の声でした。しかし、近づくにつれて見えてきたのは大きな醜いネズミの姿でした。
ランデル達は繋いでいる手を強く握り合います。魔女はついにランデル達に追い着きました。
「やっと追いついた・・・。さあ食ってやる!食ってやるぅぅぅ!」
理性を無くし、ボタボタと涎を垂らしながら魔女は吠えます。
「兄さん・・・。」
ツンデルはランデルを見つめます。ランデルは小さな声でささやきました。
「僕が合図を出したらここから飛び降りよう。大丈夫、ツンデルは絶対に守るから。」
ランデルは握っている手に力が入ります。
「・・・わかったわ、兄さん。私はいつでも兄さんを信じてるから。」
ツンデルも強く握り返します。
「ツンデル、さっき君は僕のことが好きだと言ったね。本当は僕もツンデルのことが好きだ。」
「・・・うん!」
「行くぞツンデル!」
その合図と共に、二人は外に飛び出しました。決して離れないように、お互いの体を強く抱きしめ合いながら海へと落ちていきます。
そして二人の姿は海の中に消えていきました。
「な、なんだと!この高さから飛び降りるるなんて!くそぉぉぉぉ!」
魔女は飛び降りた二人の姿を見送りながら悔しそうに吠えました。
234 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 13:56:50 ID:WfowB7fV0
二人を逃がしてしまった魔女は、とぼとぼとお菓子の家に帰りました。
「くそう・・・。いい加減お腹がすいてフラフラする。これも全部あのガキ共の所為だ。」
お菓子の家に着いた魔女は姿を元に戻して椅子に座り、疲れたのかそのまま眠ってしまいました。
「おい、あれがお菓子の家じゃないか!?」
先頭を歩いていた男がお菓子の家を見つけ、デレーデルに尋ねます。
「うん!あそこが魔女の居るお菓子の家だよ!あの家の下にある部屋におにーちゃん達が捕まってるの!」
それを聞いた村人達は、お菓子の家に近づいていきます。
先頭の男が窓から家の中を覗き込むと、中では大きなイビキをかいて眠っている魔女の姿がありました。
「よし、まずは寝ている魔女を捕まえるぞ!」
そう言ってお菓子の家の中に突入する村人達。
「ん!?なんだいお前達は!」
足音に気付き魔女は目を覚ましましたが、既に村人達に囲まれていました。
「うわ!なにをする!やめろー!」
抵抗する魔女を村人は力を合わせて縛り上げました。
魔女は観念したのか目を虚ろにして暴れるのを止めました。
「あのガキ達を食べ損ね、こんな所で捕まって・・・。ろくな事がない・・・。」
魔女は小さくつぶやきました。
「おい!下の部屋には誰もいないぞ!」
「おい魔女!二人をどこにやった!」
魔女はニヤリと力なく笑います。
「あたしのお腹の中・・・と言いたいところだけどね。生憎食べる寸前で逃げられちまったよ。ヒッヒッ・・・ヒ。」
「あの子達はどこに逃げたんですか!?」
母が声を荒げて魔女に問います。
「さあね・・・。今頃は海の中さね・・・。」
そういうと魔女は目を閉じ、いっこうに口を閉じてしまいました。
235 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 14:12:15 ID:WfowB7fV0
「森に面した海・・・。なるほど!今我々はここに居るんだ。」
男が地図をテーブルに広げて皆に説明します。
「この地図によると、森に面した海はここの入り江しかない。早速そこに向かおう!」
魔女を見張っておくため数人の村人を残し、デレーテル達は入り江へと向かった。
数人の村人が見張る中、魔女は薄目を開けます。
「(しめしめ、これくらいの数なら大蛇に変身して一飲みさね。)」
魔女は誰にも聞き取れないくらいの小さな声で呪文を唱えました。
が、魔力は先ほど殆ど使い切り、空腹も限界になってかうまく魔法がかかりません。
「(チッ!これも全てあのガキ共の所為さね。あいつらが生きてたら絶対に食ってやる!)」
怒りに身を任せ、魔女は魔法を唱えました。
ボンッ!と音がして魔女の体を煙が包みます。
「あ、くそ!皆、魔女が何かしたぞ!」
村人は慌てて煙の周りを取り囲みます。
「ヒッヒッヒ!もう遅いわ!お前達を一飲みにしてくれよう!」
煙が消えてくるのを見計らい、魔女は村人達に襲い掛かる、はずでした。
「おい!魔女の姿がないぞ!」
「ちっ!何だこのハエ!人の顔に当たってきやがって!」
村人が一匹のハエを叩き落しました。
「な、なぜじゃ!?なぜこんな姿にぃぃぃ!」
魔女はなんとハエの姿になっていたのです。
「くそ!家の外に出たのかもしれない!探しに行くぞ!」
そういうと村人は魔女を置いて家の外に出て行ってしまいました。
「く、くそう!魔法が解けん!」
ハエになった魔女はじたばたと羽をばたつかせます。しかし叩かれた所為で飛ぶ事ができません。
そこに一羽の鳥がやってきました。鳥は鋭い目でハエ魔女を見つめ、近づいてきます。
「ま、待て!やめろ!近寄るな!うわぁぁぁぁぁ!」
鳥はハエ魔女を一飲みにすると、空へと飛んで行きました。
236 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 14:13:16 ID:WfowB7fV0
「(なんだか暖かい・・・。生きているのか僕は。ツンデルは?ツンデルは!?)。」
「ツンデル!」
ランデルが目を覚ますと、そこはどこかの洞窟の中でした。洞窟の入り口の先には海が見えます。
「よかった。兄さんがこのまま目を覚まさないんじゃないかって心配したわ・・・。」
ランデルが感じていたぬくもりは、上に覆い被さっていたツンデルの体温でした。
「僕たち助かったんだね・・・。」
「ええ。あ、ごめん重いでしょう?先に私が目を覚ましたときに、兄さんすごく寒そうに震えてたから・・・。」
ツンデルが体を起こそうとする。離れていくぬくもりを感じ、咄嗟にランデルはツンデルを抱きしめた。
「にい・・・さん?」
「もう少し、もう少しこのままで居てくれないか・・・。生きていることが嘘じゃないなら・・・。」
ランデルのささやきに、ツンデルもランデルを抱きしめる。
「ええ、嘘じゃないもの。兄さんが生きているのも。私が生きているのも。・・・そして、私が誰よりも兄さんのことを愛していることも。」
ツンデルは強く、強く、力を込めてランデルを抱きしめる。
「兄さん、さっき飛び降りる前に言ったこと、あれは嘘?」
ツンデルがイジワルそうに問いかける。
「合図を出したら海に飛び込む?」
「もう、茶化さないでよ兄さん。・・・ほんと、そう言うところも兄さんらしいわ。」
ランデルは抱きしめるのを止め、ツンデルに向き合う。
「・・・嘘じゃないさ。嘘じゃないとも。僕は、ランデルは、一人の女性として、ツンデルを愛してる。」
「それじゃあ、今度は兄さんから・・・。」
答えを聞かずに目を閉じるツンデル。
ランデルは優しく唇を重ねた。
熱く見つめ合う二人。すると、どこからか人の声が聞こえてきた。
「おーい!ランデルー!ツンデルー!返事しろー!」
二人が洞窟の外を見ると、洞窟の外に船に乗った人影が見えた。
「チッ!洞窟が暗くて奥まで見えねぇ!おーい!中にいるなら返事しろー!助けに来たぞー!」
二人は嬉しさのあまりお互いを見つめ合い、もう一度キスをした。
238 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 14:15:04 ID:WfowB7fV0
その後、二人は無事に村人に保護された。
村人達は悪い魔女を逃がしてしまったと悔やんでいたが、その後誰も彼女の姿は見ていない。
ランデルとツンデルは、母に愛し合っていることを明かした。
すると、母の口からは思いもよらない言葉が語られた。
そして、時は過ぎ・・・。
239 :S ◆ErNIx2OObg :2005/09/15(木) 14:15:37 ID:WfowB7fV0
二年後。
「まったく!あの新郎新婦はどこにいったんじゃ!もうすぐ式が始まるというのに。」
教会の牧師は一人愚痴を漏らす。
小さな教会の客席には、この結婚を見届けようと多くの村人が集まっていた。
「いや〜、まさかあの仲の良い兄妹が血が繋がってないとはね〜。神様も洒落た事するねぇ。」
一人の村人がそう口にする。
デレーテルは綺麗なドレスを身に纏い、式が始めるのを今か今かと待っている。
すると、後ろのドアがバタンと開いた。みんなは一斉にその方向を見る。
「し、神父様!やっと二人を見つけました!」
シスターの発言に「おぉ〜!」と歓声が沸く。
「ふむ、それではただいまより、ランデルとツンデルの結婚式を始める!」
村人達が入り口を見守る中、純白のウェディングドレスを身に纏い微笑みを浮かべるツンデルと、タキシードに身を包み表情を強ばらせたままのランデルが入場してきた。
「よ!ツンデルちゃん綺麗だよー!」
「こら新郎〜!もう少しシャキッとしなさい!」
村人の歓声が飛び交う中、二人は神父の前へと進んでいく。
「え〜、それでは、新郎ランデルは・・・。」
「待って神父様。」
式を始めようとする神父を制するツンデル。
「お、おいツンデル!」
驚いたランデルにツンデルは微笑む。
「私は、兄ランデルを愛しています。これからも一緒にいて下さい。」
突然の告白に戸惑うランデルだが、緊張が解けたのかいつもの表情に戻る。
「僕も、妹ツンデルを愛しています。これからも一緒にいよう。」
二人の奇抜な行動に教会内が静まりかえる。
「コ、コホン!それではお互い誓いのキスを!」
自棄になる神父を無視し、二人は永遠の誓いを交わした。
Fin
2005年09月13日
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なるべく読む人に疑問持たせないように、
>245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/09/15(木) 14:41:31 ID:qyuNgjEn0
>なんで蝿になったかわかんないのは俺だけかしら
とかも、途中で魔法の詠唱の邪魔されて…
みたいな描写を一つ入れるだけでよさげだし。
魔女の家までクッキーが転々と落ちてる、
ってのも偶然で終わらせて欲しくない感じ。
海に飛び込んで助かったのも、
一番重要なとこっぽいのにあっさり助かりすぎかなぁ。
実は血が繋がってなかった!って方が重要なのかも知れないけど、
それにしてもご都合が強く見える。
何て言うか、他のでも言える気がするけど尻すぼみ?
最初に終わり方を考えると良いかも。
長文マジレススマソ
なるほど、参考になります。
確かに最後のほうは急いでいて説明が足りませんでしたね。
これからも精進します!
>羽越さんへ
陰ながらの応援ありがとうございます!
メールは届いてないみたいです(´・_・)ショボン